仕事に集中しているうちに腰が重くなる。座り直してもつらく、立つと少し楽になる。「姿勢が悪いから?」「椅子を買い替えた方がいい?」と迷う方もいらっしゃると思います。
座っているときの腰痛は、座り方や椅子だけで原因を決められるものではありません。当院では、何をして座っているか、何分くらいで痛むか、立った後はどう変わるかまで具体的に伺います。まず受診を優先したい症状を確認し、そのうえで仕事中の工夫と、当院の身体の見方をお伝えします。
まず確認したい、医療機関への相談を優先する症状
腰の痛みに次のような症状が伴うときは、整体院の予約やLINEの返信を待たず、救急や医療機関へ相談してください。
- 尿が出にくい、尿や便を漏らすなど、これまでになかった排尿・排便の異常
- 股の間や肛門の周りの感覚が鈍い、両脚のしびれや脱力がある、脚の力が急に入りにくくなった
- 胸の痛みを伴う、交通事故など強い外傷の後に痛みが出た
急な強い症状や歩けないほどの脱力など、緊急性が疑われる場合は119を利用してください。発熱や強い全身のだるさを伴う、突然の激しい痛みや急激な悪化がある場合も、速やかな医療評価が必要です。
休んでも軽くならない痛み、夜間の痛み、意図しない体重減少、続く脚のしびれや感覚の変化も、医療機関に伝えたい情報です。これらだけで特定の病気と決まるわけではありませんが、「座りすぎだろう」と自己判断せず相談しましょう。痛みが続いて仕事や生活に支障が出ている場合も受診の目安です。
「何分座ると痛いか」「立つとどうなるか」を分けて考える
何をするために、どんな環境で座っていますか
パソコン作業、書類を書く仕事、車の運転では、手の使い方や身体の向き、自由に動ける時間が異なります。当院では、仕事内容に加えて、椅子の座面や背もたれ、足が床についているか、片側へ身体を向け続けていないかなどを伺います。
これは「その座り方は悪い」と採点するためではありません。どの条件だとつらく、何を変えると少し過ごしやすいのかを、一緒に探すための情報です。
痛みが出るまでの時間と、座っていないときの様子
相談の際は、次の点を分かる範囲で教えてください。痛みを我慢して時間を測る必要はありません。
- 座ってすぐなのか、しばらく作業をしてからなのか
- 腰の真ん中・左右・お尻に近いところなど、どこが痛むのか
- 立った直後に痛むのか、立つと楽になるのか、歩き始めると変わるのか
- 寝ているときや朝の起き上がりでも痛むのか
- 脚のしびれ、感覚の鈍さ、動かしにくさがあるのか
同じ「デスクワークで腰が痛い」でも、この経過は人によって違います。座っている時間だけでなく、その前後の動きも確認することが大切です。
座り方や椅子だけで、腰痛の原因を決めない
成人を追跡した研究をまとめたレビューでは、座っている時間と腰痛の発症との関連は明確ではありませんでした。また、姿勢と腰痛を扱った複数のレビューをまとめた研究でも、特定の姿勢が原因だという合意は得られていません。
だからといって、つらい姿勢を我慢してよいという意味ではありません。ただ、「骨盤が後ろに傾いているから痛い」「柔らかい椅子だから腰痛になる」と、一つの条件で説明するのは慎重に考える必要があります。
当院では、椅子の買い替えや、ずっと背すじを伸ばし続けることを最初から正解にはしません。今の環境で無理なく変えられる点と、そのときの症状を確認します。
仕事中は、姿勢を固定するより動く機会をつくる
短い休憩や、作業の切り替えを取り入れる
可能な範囲で作業の区切りに立つ、少し歩く、別の作業に切り替えるなど、同じ状態が続かない工夫をしてみてください。英国の労働衛生機関HSEも、短くこまめな休憩や姿勢を変える機会を案内しています。
オフィスワーカーを対象に、休憩や姿勢変更による腰痛の発症予防を報告した研究はあります。一方、すでに慢性的な腰痛がある人への職場の運動休憩で、明確な改善が見られなかった小規模な研究もあります。「何分ごとに立てば治る」とまでは言えません。
痛みが出るまでの時間と仕事の都合を踏まえ、続けられる方法を考えましょう。立つこと自体が痛い場合は、無理に繰り返すより医療機関などへ相談してください。
椅子や足元は、無理なく過ごせるかを確認する
当院で環境を伺う際は、足が落ち着く位置に置けるか、机に合わせようとして身体をひねり続けていないか、背もたれを使うと楽か、といった点も確認します。一つずつ変え、症状がどうなるかを見ていきます。
高価な椅子や特定のクッションを使えば改善するとは限りません。まず困っている状況を具体的にし、必要に応じて職場で環境の調整を相談することも選択肢です。
運動やストレッチは、痛みを我慢して行わない
腰痛のガイドラインでは、状態に応じた活動や運動を取り入れることが重視されています。できる範囲の日常活動を続け、長時間寝て過ごすことを避けるのが基本ですが、強い痛みを押して運動するという意味ではありません。
身体を動かすと痛みが強まる、しびれが出るなどの場合は、その動きを中止して相談してください。この記事では、原因や状態を確認しないまま全員に同じストレッチを勧めることはしません。
スポーツ整体院 将では、腰だけでなく動きも確認します
当院では、ここまで挙げた作業環境や症状の経過を伺ってから、身体の動きを確認します。次の内容は、久保田将希の臨床での評価方針です。検査一つで原因が確定する、という説明ではありません。

腰・お尻に加え、脚や上半身の動きも見る
座った状態で骨盤を前後へ動かす、身体をひねる、横へ倒すなど、複数の動きを確認します。必要に応じて、お尻・太もも・足首、肩や肩甲骨、首、お腹の状態も見ていきます。
どこが動きにくいか、別の場所が代わりに大きく動いていないか、どの動きで症状が変わるかを、全体として考えます。「足首が硬いから腰痛」「身体の奥の筋肉が働いていないから痛む」と、その場で原因を決めるものではありません。
触れたときの痛みも、判断材料の一つにする
腰の下部やお尻の中央に近い仙骨の周辺などに触れ、押すと痛む場所や、別の場所へ広がる痛み・しびれがないかを確認することもあります。ただし、押して症状が出たことだけで、そこが原因だとは判断しません。ご自身で強く押して確かめる必要もありません。
説明して施術し、同じ動きをもう一度確認する
得られた情報から身体の状態について仮説を立て、施術の方針を説明します。腰やお尻への手技、必要に応じた鍼やストレッチなどを、身体への負担とご本人の希望を考えて選びます。お腹の状態を確認し、アプローチを検討する場合もありますが、すべての方に行うものではありません。鍼が苦手な方へ無理に行うこともありません。
鍼や手技の位置づけは、研究や指針でも一様ではありません。WHOは、他の病気などによるものではなく3か月を超えて続く腰痛についてケアの一部として選択肢を示す一方、英国NICEは腰痛への鍼を推奨していません。NICEでは手技も運動を含む組み合わせの一部として扱っています。こうした知見を、当院の施術が必ず効くという説明には使いません。
施術後は、最初に確認した動きや症状がどう変わったかを見直します。変化があっても、それだけで原因が証明されたとは考えません。その後の仕事や生活でどう過ごせたかも含め、必要な対応を考えていきます。
座っているとき以外にも痛む方へ
朝の寝返りや起き上がりでも腰が痛む方には、朝起きると腰が痛いときの考え方と対処法も参考になります。腰ではなく肩甲骨周辺や背中の急な痛みが気になる場合は、突然の背中の痛みへの対処と病院に行く目安をご覧ください。
参考にした主な資料
- NHS:Back pain(受診の目安・日常の対応)
- NICE:腰痛・坐骨神経痛のガイドライン NG59
- WHO:慢性一次性腰痛の非手術的ケアのガイドライン(2023)
- Alzahraniほか:座位行動と腰痛の縦断研究レビュー(2022)
- Swainほか:姿勢と腰痛の因果関係に関するレビュー(2020)
- Waongenngarmほか:休憩・姿勢変更の発症予防試験(2021)
- Tsuboiほか:腰痛のあるオフィスワーカーの運動休憩試験(2021)
- HSE:画面作業中の休憩と作業の切り替え
この記事を書いた人

この記事を書いた人:久保田将希(スポーツ整体院 将 院長)。柔道整復師・はり師・きゅう師。
※臨床歴・施術実績は2026年時点のものです。延べ施術人数は、これまでの施術経験全体の実績です。
座っていると腰がつらい方へ
医療機関での評価を優先すべき症状がない場合でも、仕事中の痛みが続く、どんな動きや環境を見直せばよいか分からないなど、お困りのことがあればご相談ください。
スポーツ整体院 将は今福鶴見駅から徒歩1分、完全予約制です。当院での施術や予約については、公式LINEから「どんな作業をしているか・どれくらい座ると痛むか・立つとどう変わるか」をお知らせください。
緊急性のある症状がある場合は、LINEの返信を待たず救急・医療機関へ相談してください。