2026.10.06

立ち上がると腰が痛いのはなぜ?動きから考える腰痛

椅子から立つたびに腰が痛いと、「立ち方が悪いのか」「このまま動いてよいのか」と迷いますよね。同じ立ち上がりでも、お尻が椅子から離れる瞬間、立つ途中、立った後に腰を伸ばすときでは、確認したいことが異なります。

立ち上がると痛いという情報だけで、筋肉や骨盤など一つの原因に決めることはできません。まず医療機関への相談が必要な症状を確認し、そのうえで、どの瞬間・どの場所が痛むのかを整理していきましょう。

まず確認したい、医療機関への受診の目安

新たな排尿・排便の異常や、強い神経症状があるとき

腰痛とともに次の症状がある場合は、動作の練習や整体への相談より、速やかな救急での評価を優先してください。

  • 尿が出にくくなった、尿や便を漏らすなど、排尿・排便に新たな変化がある
  • 股の間や肛門の周囲の感覚が鈍い
  • 両脚にしびれ・感覚の変化・力の入りにくさがある
  • 大きな転倒や事故の後に強く痛む

突然の脱力、急速な悪化、歩行が難しいなどの場合も、自己判断で動き続けないでください。移動が難しい、意識が遠のく、胸痛や息苦しさもあるときは119などの救急対応を優先します。すべての症状が揃うまで待つ必要はありません。

発熱、尿の症状、安静にしていても続く痛みは医療機関へ

発熱・悪寒や強い全身のだるさ、急に始まった非常に強い痛み、急速に悪化する痛みがある場合は、早急に医療機関へ相談してください。安静にしていても軽くならない痛み、繰り返す夜間痛、原因不明の体重減少、がんの治療歴がある場合も、整体だけで様子を見続けず医師に伝えましょう。

腰背部の痛みには、腎盂腎炎という腎臓の感染症や、尿の通り道に石ができる尿路結石などが関係する場合もあります。背中・脇腹の痛みに、排尿時の痛み、血尿、発熱、吐き気などが重なるときは、筋肉の痛みと決めつけず、内科・泌尿器科などへ速やかに相談してください。

また、下腹部の痛み、月経に伴う強い症状、不正出血などがあれば、婦人科を含む医療機関での確認が必要な場合があります。妊娠の可能性と腹痛・出血があるときも早急に相談し、激痛や失神などがあれば救急へ。女性の腰痛がすべて婦人科の問題という意味ではありません。

これらは病名を自分で決めるためではなく、受診先を考えるための目安です。日本整形外科学会も、腰痛には脊椎以外の病気が関係する場合があると説明しています。日本整形外科学会「腰痛」、NHSの受診案内を参考にしています。

「立ち上がると痛い」を、4つの瞬間に分けてみる

受診を優先すべき症状がない場合、普段の生活の中で「いつ痛むか」を言葉にしておくと、相談時に伝えやすくなります。痛みを確かめるために、何度も立ち座りを繰り返す必要はありません。

  • お尻が椅子から離れる瞬間:座面から身体を持ち上げ始めるときに痛む
  • 立ち上がる途中:身体を起こしていく間に痛む
  • 立った直後:立ち終わったところで痛む、すぐに歩き出しにくい
  • 立って腰を伸ばすとき:立つことはできても、その後に背筋を伸ばそうとすると痛む
椅子の座面から離れる瞬間、立ち上がる途中、立った直後、立って腰を伸ばすときの4場面を示す図
痛む場面を整理するイメージ図です。立ち方の練習手順ではありません。

この分け方で病名や原因が決まるわけではありません。たとえば「立つときに痛い」だけより、「長く座った後、お尻が離れる瞬間に右腰の下の方が痛む」と伝えられると、状態を具体的に共有できます。

腰の上か下か、左右どちらか、お尻や脚へ広がるかも大切です。座っている間、歩いているとき、寝ているときにも症状があるかを合わせて伺います。

座っている時間そのものもつらい方は、座りっぱなしで腰が痛い人へ|デスクワーク腰痛の考え方もご覧ください。長時間座ることと、立ち上がる瞬間の痛みを分けて整理しています。

立ち上がりは、腰だけで行う動作ではありません

椅子・足元・股関節・膝などの条件も関わります

座った状態から立つときには、身体を前へ移し、お尻を浮かせ、脚で支えて立位へ移る動きが重なります。腰の動きに加えて、股関節や膝、足首、お尻・太ももなどの働きも関わります。

立ち上がりの研究では、椅子の高さ、肘掛けを使うかどうか、足を置く位置によって、必要な力や動き方が変わることが報告されています。ただし、これは「この椅子なら腰痛が治る」「全員が同じ足位置で立つべき」という意味ではありません。立ち上がりの条件を調べた研究レビューをもとに、当院でも身体と環境の両方を確認しています。

動きの違いが、そのまま痛みの原因とは限りません

腰痛がある人とない人では、立ち上がる速さや、腰・股関節の動きが異なるという研究があります。一方、その違いが痛みを起こしたのか、痛みを避けるために動き方が変わったのかは、十分に分かっていません。研究全体の確実性も高くありません。

また、腰痛がある人で、お腹や背中の筋肉をより強く働かせ、身体の動きを抑えていた報告もあります。「筋肉が働いていないから痛い」と一つの説明にまとめることはできません。腰痛と立ち上がり動作のレビュー、筋活動と立ち上がりを比較した研究でも、個人の原因を見た目だけで決める根拠は示されていません。

スポーツ整体院 将では、どのように確認するのか

痛む瞬間と、普段の椅子や立ち方を伺います

当院では、冒頭で整理した痛みの経過に加え、仕事中なのか、食事や休憩の後なのか、普段どのような椅子を使っているかを伺います。そのうえで、安全に行える範囲で実際の立ち上がりを見せていただきます。

スポーツ整体院 将で久保田将希が記録用紙を手に対面で話を聞いている様子

確認するのは、見た目が「きれいな立ち方」かどうかだけではありません。どの瞬間に症状が出るか、手の支えが必要か、どこで動きが止まるかを見ます。強い痛みや神経症状があるときは、無理に再現させず、医療機関への相談を優先します。

骨盤の傾き、脚の使い方、首まで全身を見ます

骨盤後傾とは、骨盤が後ろへ傾いた状態のことです。私は臨床で、こうした姿勢や、お腹まわりの支えを使いにくそうに見える立ち方で、腰背部に頼っているように感じるケースを経験します。ただし、これは当院での観察と仮説であり、骨盤の傾きが腰痛の原因だと判断しているわけではありません。

お尻・太ももの裏・腹部・腰背部を含む背中の筋肉の状態、股関節・膝・足首の動かしやすさも確認します。動きにくい場所を別の場所で補っていないか、左右で使い方が異ならないかを見ています。押して痛む、触ると硬いという所見だけで原因部位を確定しません。

足裏のどこで支えているか、踵・つま先・膝の向きも観察します。首の痛みやこりがある場合は、頭の位置や首の動きも全身の姿勢と合わせて確認します。ただし「足の外側に乗るから腰が痛い」「首が前へ出ているから骨盤が傾き、腰痛になる」という固定したつながりでは考えません。

お腹の内側の圧力は「腹腔内圧」と呼ばれ、身体の支えに関わりますが、外から見ただけで測定できるものではありません。当院でも、立ち方を見て「腹圧が低いことが原因」とは決めつけません。

施術後は、同じ立ち上がり動作をもう一度確認します

評価で得た情報から仮説を立て、身体の状態や施術方針を説明します。必要な施術は、ご本人の希望や身体への負担も考慮して選択します。研究で動きの違いが示されたことと、特定の施術が有効だということは別です。

大切にしているのは、「施術をしたから良くなったはず」で終わらせないことです。施術前に困っていた立ち上がりを再び行い、痛み、立ちやすさ、動き方、関節の動かしやすさがどう変わったかを確認します。比較しやすいよう、椅子や手の支えなどの条件も意識します。

変化があっても、それだけで原因が証明されたとは考えません。その場の変化だけでなく、日常生活での経過も踏まえて方針を見直します。状態が悪化する、予想と合わない症状がある場合には、医療機関での確認を勧めます。

自宅では、痛みを我慢する練習より無理のない工夫を

受診の目安に当てはまらず、安全に動ける場合には、次のような工夫を検討できます。全員に同じ動作を勧めるものではなく、痛みやふらつきが増す場合は中止してください。

  • 低いソファから立つのがつらければ、足が床に届き、立ち座りしやすい高さの安定した椅子を選ぶ
  • 必要に応じて安定した肘掛けなどで手を支え、無理に手を使わず立とうとしない
  • 足元を片づけ、滑りやすい床や動く家具を支えにすることを避ける
  • 立った後に痛む場合、背筋を伸ばそうとして腰を強く反らさない

椅子の条件が動作に影響する研究を参考にした生活上の工夫であり、腰痛を治す方法として効果が確認された組み合わせではありません。椅子の高さを変えるために不安定な物を重ねることも避けましょう。

長く寝たままで過ごすのではなく、状態に合わせてできる活動を続けることが一般的には勧められています。ただし、痛みを押して立ち座りを繰り返したり、強いストレッチを行ったりする必要はありません。立つことが難しい、しびれが続く、生活に支障があるときは相談してください。

朝に起き上がって立つときが特につらい方は、朝起きると腰が痛いときの考え方と対処法へ。寝返りでも痛む、夜中の痛みが気になる方は、寝返り・夜間の腰痛と受診の目安で、場面を分けて説明しています。夜間痛だけで重大な病気と決まるわけではありませんが、繰り返す場合は自己判断せず医療機関で相談しましょう。

参考にした主な資料

この記事を書いた人

スポーツ整体院 将 院長・久保田将希の公式プロフィールカード

この記事を書いた人:久保田将希(スポーツ整体院 将 院長)。柔道整復師・はり師・きゅう師。

※臨床歴・施術実績は2026年時点のものです。延べ施術人数は、これまでの施術経験全体の実績です。

立ち上がるときの腰痛でお困りの方へ

医療機関を優先する症状がない場合でも、椅子から立つのがつらい、動くのが怖い、自分の立ち方について相談したいなど、お困りのことがあればお知らせください。

スポーツ整体院 将は、今福鶴見駅から徒歩1分、完全予約制です。施術や予約のご相談は、公式LINEから「いつから・立ち上がりのどの瞬間に痛むか」を分かる範囲でお送りください。LINEだけで病気の有無を判断することはできません。緊急の症状がある場合は返信を待たず、救急・医療機関へ相談してください。

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